12月10日 (2018-12-10)
A子の夫は、会社の社長で財力がある。その夫が部下の女性と浮気していたことが発覚し、A子は、部下の女性に慰藉料を請求することにした。A子から、その女性に対し、300万円払えという文書を送りつけると、その女性はすぐ指定した口座に300万円を振り込んできた。
しかし、その金が夫から出ていることをA子は知っている。A子の夫は、これまでも度々浮気をし、A子は、それに苛立ちを覚えるが、夫は、全く反省しない。それなら、A子は、離婚を考えているかというとそうではない。
A子は、今の経済的に安定した暮らしを捨てたくはない。せめて浮気相手の女性から直接金を取りたいと思い、私の事務所に相談に来たのだったが、仮に女性相手に訴を起こしたとしても、女性は、出廷することなく請求金額を全額支払えば、訴を取り下げざるを得ない。女性が自分で懐を痛めて払うのか、銀行または親から借りるのか、パトロンに出してもらうのか、そんなことは関係ないのである。
A子は、いつまでも悶々としている。
B子も、夫が不貞をはたらいていることを知り、夫と離婚して、夫と愛人に慰藉料を請求することにした。不貞は、夫と愛人の共同不法行為である。
「(夫と愛人は)連帯して300万円払え」という訴を出したところ、これまた夫が、300万円を振り込んできた。
この場合、夫は愛人の分まで払ったのだから、法律的には求償といって、夫から愛人に、半分の150万円を請求できるはずだが、求償をするかしないかは夫の自由である。
本当に払わせたい相手に払わせる、というのは案外難しいことなのである。
この記事を書いた弁護士
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藤田・曽我法律事務所代表弁護士
仙台で弁護士を始めて50年以上。
この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。
注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。
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