11月10日 (2018-11-10)

 「弁護士を雇う」という言い方をする人がよくいる。

 先日は、家庭裁判所の調停委員までも、相手方本人に「弁護士を雇ったらどうですか」等と言うので、思わず私は、「弁護士は雇用ではなくて、委任です」と言ってしまった。
 雇用と委任は、どこが違うのか。
 雇用も委任も労務の給付を目的とする契約ではあるが、雇用は、労務給付が使用者の指揮命令のもとで行われるのに対し、委任は、労務提供者の一定の裁量のもとで行われるという違いである。
 たとえば、会社の営業マンは雇用、医者や弁護士は委任である。とは言っても、区別の曖昧さがある。営業マンに何らの裁量権がない訳ではなく、誰にどのような説明をして、どの商品を勧めるか等裁量の余地があるし、弁護士との委任契約も、誰を相手に、いくらの慰藉料を請求してくれというレベルで捉えると、そのような仕事の完成を目的としている請負契約と似てくる面もある。
 いずれにしても、報酬が発生するので、私は依頼者との間で、きちんと委任契約書を作成し、内容をわかりやすく説明しているつもりである。

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤田 紀子
弁護士 藤田 紀子
藤田・曽我法律事務所代表弁護士

仙台で弁護士を始めて50年以上。

この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。

注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。