10月20日 (2018-10-20)

 B子は、1年前にC太郎にから借りた100万円を毎月10万円ずつ返済して来たが、生活が苦しくなったので、C太郎に頼み込んだところ、「あと30万円残っているところを今後5万円ずつ3回払ってくれれば、それで良い」と言われ、B子は、頑張って15万円を払い、確約書も作成して、これまで支払った85万円を確かに受領したとC太郎も署名した。
 B子は、当然これで済んだと思っていたところ、後日C太郎から「残りの15万円は、いつ払ってくれる?」と催促された。
 B子は、「そんなはずはない。先月支払った時に、もうこれで終わりということだったでしょう」と反論したが、C太郎は、残り15万円について返済猶予はしたが、免除した覚えはないという。
 B子が、確約書を持って、私の事務所に相談に来た。
 確約書には、これで完済したという文言はない。また、清算条項(裁判所や弁護士が和解条項を作成する時、他に何も債権債務関係はない、つまり、これですべて終わり、ということを明記した条項のこと)もない。
 もし、弁護士がついて確約書を作成するなら、当然清算条項を入れるはずだが、そんな知識のないB子は、それに気づかなかったのである。
 このように、何か文書を作成して署名・押印するときは、予め弁護士に相談することをお勧めする。B子も、C太郎に署名をもらう前に、確約書を弁護士に見てもらえば、清算条項をきちんと入れた確約書を作成できたはずである。

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤田 紀子
弁護士 藤田 紀子
藤田・曽我法律事務所代表弁護士

仙台で弁護士を始めて50年以上。

この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。

注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。