1月20日 (2013-1-20)
法廷で。
相手方代理人弁護士「それであなたは連れて行かれたのですね」
証人 「いいえ、私の方が連れて行ったのですよ」
相手方代理人弁護士「だからあなたが連れて行かれたのでしょう?」
? ? ?
弁護士は、証人に敬語を遣って「連れて行かれる」と言ったのを、証人は「られる」を受身にとらえたのだ。
日本語では、受身と敬語が同じ「られる」なので、このような混同が起きたのだ。しかし、正確には敬語を遣うなら「連れていらっしゃった」と言わなければならないだろう。
「これ食べられます?」と聞かれ、当たり前という顔をしていたら、次から次と皿に料理が盛られた。私は、「られる」を可能の意味にとったのだが、聞いた方は、敬語のつもりだったのだ。これも正確に敬語を遣うなら、「召し上がりますか?」と言わなければならない。
こちらが年を取ったせいか、この頃、若い人たちの言い方に違和感を覚えることが多い。
レジでお金をぴったり払っても、「620円お預かりいたします」と言われ、それならいつ返してくれるの?と聞きたい。
レストランで注文して、「オムライスでよろしかったですね」と言われると、「過去じゃない、これから食べるのよ」と言いたい。
若い人たちにご馳走しようとレストランに連れて行き、それぞれに希望を聞くと「刺身定食でいいです」と値の張るメニユーを指定する。それだったら「刺身定食がいいです」と言ってくれ、という気分だ。
若い人たちと話をしていると、諺の解釈がすっかり違っているのにも驚く。
「可愛い子には旅をさせ」→だから僕も卒業旅行に、海外に行かせてもらった。
「船頭多くして舟山に登る」→大勢で力を合わせれば、できないこともできるようになる。
「人を呪わば穴2つ」→嫌いな人を呪って、ひどい目に遭わせようと思ったら、穴1つでは足りない、2つも掘っておかないと。
「子を持って知る親の恩」→結婚して子どもが生まれたら、じぃちゃんばぁちゃんが、孫のために何でも買ってくれるようになった。
全く笑うしかない。
この記事を書いた弁護士
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藤田・曽我法律事務所代表弁護士
仙台で弁護士を始めて50年以上。
この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。
注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。
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