2月10日 (2013-2-10)

 A子から離婚調停申立の依頼を受けたので、申立書に添付する戸籍謄本を取ってみた。内容を見てみると、夫は、2人の子どもを認知していた。A子は、それを知らず、びっくりした。
 2人の子どもの母親は、夫の愛人のはずであるが、夫と同姓を名乗っている。A子と離婚していない限り、重婚状態になり、それは許されないので不思議に思って愛人の戸籍を取ってみると、なんと夫の親と養子縁組していたのだ。それで、夫と同姓を名乗っていたのである。
 この頃、A子の夫は、自宅に帰ることが少なく、会社の寮に泊まり込んでいると言っていたが、その寮があるという場所と愛人の住所が一致していたので、A子はそこを訪ねてみた。
 すると、一軒家の表札に夫・愛人・2人の子どもの名前があって、みな同じ姓なので、あたかも夫婦・子どもが一緒に住んでいるという態をなしていた。
 当然A子は憤り、夫に対して、かなりの慰藉料を請求するだけでなく、愛人に対しても、慰藉料を請求することにした。
 戸籍謄本をみると、このように一人の人が、いつ生まれ、いつ結婚し、いつ子どもが生まれたか、いつ離婚したか(それが協議離婚か、調停離婚か、裁判離婚か)、また、どこの誰を認知したか、いつ死亡したか、すべて判明する。
 以前は、誰でも他人の戸籍謄本を取ることができ、悪用されたり、プライバシーが侵害されたりすることが多かったので、しばらく前から他人の戸籍謄本を取ることができるのは、弁護士や司法書士など一定の資格のある者が、職務上必要な時に限られたのである。
 先日、B男が、私の事務所に来て、娘に結婚話があって、相手の男性の親など履歴を知りたいので、戸籍謄本を取ってくれと頼まれたが、これは事件性がなく、職務として戸籍謄本を取ることはできませんとお断りした。

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤田 紀子
弁護士 藤田 紀子
藤田・曽我法律事務所代表弁護士

仙台で弁護士を始めて50年以上。

この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。

注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。