2月20日 「サンソン回想録」
オノレ・ド・バルザックの「サンソン回想録」を読んだ。フランスのサンソン家は代々死刑執行人を務め、四代目サンソンはフランス革命期に、ルイ一六世、マリー・アントワネット、ロベスピエールらの処刑を担当した。バルザックは、サンソン家一族がどれほど苦しい思いで生きてきたかを克明に描いている。経済的な苦労はないものの、サンソン家の人々は差別を受け、世間から孤立した生活を強いられていた。この本の中でバルザックは、サンソンの口を借りて「死刑制度は人間の本性に反するがゆえに廃止されなければならない」ということを繰り返し述べている。
日本では未だに死刑制度が存続しているが、世界的にみて70%以上の国が死刑制度を廃止している。
死刑を廃止すべきだという論拠として、死刑が誤判により取り返しのつかない権利侵害を起こしうる、とか死刑は法の下の殺人であり、殺人が許されないのと同じく死刑もまた許されないと言われたりしているが、さらに死刑執行人の心理的葛藤をもその根拠にあげるべきだと、この小説を読んでつくづく思った。
この記事を書いた弁護士
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藤田・曽我法律事務所代表弁護士
仙台で弁護士を始めて50年以上。
この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。
注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。
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