2月10日 家計管理は誰がする?
物価高騰に保険料・税金の増額が家計を圧迫している。離婚の相談の際、私は必ず「家計管理はどっちがしていたか」を聞く。夫が給料の内から妻に毎月○○万円を家計費として渡す。仮にこれをA型としよう。夫は給料をすべて妻に渡して、妻がやりくりする。仮にこれをB型としよう。今までの経験から、高給取りの場合はA型、そうでもない場合はB型が多いように思う。
いずれにせよ離婚に際しては財産分与が問題となり、夫名義、妻名義の預貯金はすべて明らかにして夫婦で分けることになるが、A型の場合、妻は夫名義の預貯金がどの位あるのか把握していないことが多い。それでも、弁護士会を介して調査したり、裁判所に調査嘱託の申立てをしたりして、目星をつけた銀行から夫名義の取引資料を入手することは可能である。社内預金や、株式投資資産、積立型生命保険など、何らかの機関に預けてある資産は明らかになる場合が多い。これに反し、いわゆるタンス預金は表に出にくい。毎月10万円は余裕があったから10年で1千万円近くは貯えていたはずだと主張しても、「はずだ」というだけではダメだ。B型の場合でも、やりくり上手な妻がいわゆる「ヘソクリ」を隠していれば、これはなかなか見つからないかもしれない。どうせ今は銀行に預けてもたいした金利はつかないのだから、夫に知られないように老後の貯えを、と考えている女性は案外多いかもしれない。
結婚した時、我が家はB型だった。私は大きな法律事務所に勤め、割合に高給を取っていた。夫は国立大学助教授(当時)で収入は多くなかった。毎月給料袋を私に渡していたが、「ありがとう」と受け取るものの、封も切らずに何週間も棚の上にのせたままなのを見て、情けなく悲しい思いをしていたという。
私の夫は幸せだったのだろうか、不幸せだったのだろうか。
この記事を書いた弁護士
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藤田・曽我法律事務所代表弁護士
仙台で弁護士を始めて50年以上。
この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。
注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。
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