11月10日(2021年11月10日)離婚調停

A子は夫に愛人がいることがわかり、慰藉料を請求して離婚調停を起こした。夫は非を認めるが、慰藉料としては50万円しか払わないと言う。A子はとんでもない、少なくとも10倍の500万円はもらわなければ、と息巻く。夫が愛人と旅行したり、高価なプレゼントをしたりしているのに対し、A子はひたすら夫に尽くし、夫の親の介護までしてきたのだから、A子の主張は当然だ、と私も思った。
夫はやっと100万円の提示をしてきた。50万円は一括で払うが、あとの50万円は毎月万円ずつの10回払いだという。当然A子はこの案は呑めないだろうと思っていたら、「それでいいです。早急に決めて離婚したい」と言い出した。私は驚いて、「本当にそれでいいの?後悔しない?」と念を押すと、A子が実は・・・と話し始めたことに私は二度驚いた。A子にも愛人がいて彼の子を妊娠していることが最近判明したというのだ。これではどっちもどっちで夫からも慰藉料請求をされるかもしれない。しかし夫は未だそのことに気付いていない。
私はA子の代理人としてもちろんA子の不利になることは明らかにしないが、良心の呵責を感じながら次回調停を成立させることにする。
この記事を書いた弁護士

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藤田・曽我法律事務所代表弁護士
仙台で弁護士を始めて50年以上。
この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。
注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。
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