10月10日(2021年10月10日)「ADR」

 ADRというのはあまり知られていない。正確にはオールタナティヴ・ディスピュート・リゾルーションという、訴訟外紛争解決機構と訳されているようである。

 お金を貸したのに返してもらえない、家を明け渡してもらいたいのに借家人が出て行ってくれない、誤ってケガをさせてしまって治療費+10万円払いましょう、というのにとても支払えないような高額の慰藉料を請求されている、といったような民事上のトラブルの解決に役立っている。もちろん民事上のトラブルを解決するのは裁判所という公的な機関があるが、ADRは裁判官ではなく、経験豊富な弁護士が申立人と相手方の言い分をよく聞いた上で和解による解決を目指し、事案によっては不動産鑑定士等の専門家も協力する。そして、訴訟や調停と違ってADRには様々なメリットがある。形式にこだわらない柔軟で納得のいく解決を目指す、審理回数は原則3期日とし、短期間で紛争解決をする、土日、祭日、夜間、法律事務所や現地での審理も可能で、手続きは非公開、双方の秘密保護に配慮する、手続きの最初から最後まで弁護士が関与するというメリットだ。

 先日事務所に相談に来たA夫も身内の保証人になって300万円を払わされ、本人に請求してもちっともらちが明かない、かといって公の裁判にする気はしない、ということだったのでADRの申立をすることにした。しかしこの制度のデメリットは強制力がないことである。そもそも相手方が審理の呼出に応じないとか、審理期日には出て来たが一銭も払わないと一歩も譲らない、といった場合はお手上げである。私もADRの仲介弁護士を勤めているが、何とか双方少しでも満足のいくような解決をと双方の話をかわるがわる聞き、無茶を言っている人には説得して合意成立に多大な努力を払っているのである。

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤田 紀子
弁護士 藤田 紀子
仙台で弁護士を始めて50年以上。

この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。