8月10日 (2019-8-10)

 一昔前には、子どもは親の所有物だという意識から、生活に困り果てた母親が、子どもを殺して自分も死ぬという無理心中、また、障害を持つ子の将来を案じて、親が手にかけるという事件があった。
 最近は、幼児を虐待して死亡させるという事件が後を絶たない。母性は本能ではないのかと思う。私はもともと子ども好きな性格ではなかった。車中で子どもが泣いたりしていると、「何だ、うるさいな」と思っていた。それが自分で子どもを持ってみると、親を頼ってしがみついたりしてくる子が可愛いというか、不憫だと思う心ができて、それからは道ばたで泣いている子どもをみると、なんで泣いてんだろうと可哀想な思いを持つようになった。
 何で自分で生んだ子どもを床に投げつけたり、食事を与えず衰弱死させたり、なんと残酷なことができるのだろう。幼い子どもが一番必要としているのは親の愛であり、親しか頼る人がいないのだ。
 でも実際には幼児を虐待死させる親がいるのだから、これを何とかしなければならない。
 国は、児童相談所の体制強化や体罰禁止を柱とする児童虐待対策関連法を改正したが、これで事態が変わるとは思えない。
 政府は法改正案に先立ち、昨年7月には虐待防止の緊急総合対策を策定、今年2月にはその徹底・強化も打ち出していた。しかし、札幌市で衰弱死した2才の詩梨ちゃんの事件では、虐待通告から48時間以内に安全確認ができなかった場合に、強制的な立ち入りを調査する「48時間ルール」や、子どもと会えない場合、リスクが高いと判断すべきことなど、対策に盛り込んだことが実行されなかった。 また、東京都で虐待死した5才の結愛ちゃんの事件では、児童相談所が「一時保護」しながら、父親の圧力に負けて一時保護を解除している。虐待した親に子を委ねている。
 民法では、平成23年に法律を改定して、親権の行使が困難又は不適当な場合は、親権停止の審判ができるという規定を新設し、児童福祉法の改正で児童相談所長が親権喪失、親権停止の審判の請求ができるようになる。
 これらの規定を積極的に活用して、少しでも児童虐待死を防げるようにと切に願っている。

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤田 紀子
弁護士 藤田 紀子
仙台で弁護士を始めて50年以上。

この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。

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