7月20日 (2019-7-20)

 A子が私の事務所に竹竿を持ってきた。
「何それ?」と聞くと、「先生が夫の暴力の証拠が必要だというので、証拠を持ってきた。毎日のようにこれで殴られている」と言う。
 A子は、何回も私の事務所に来て離婚したい、夫が同意しないので調停を出してくれと依頼していたが、私としては、何か暴力の証拠があるのかと聞いていたのだった。例えば夫に殴られ怪我をしたときの診断書、あるいは警察をよんで事情聴取受けた時の資料、あるいはDV相談に行った時の相談票のようなものを言っていたのだが。
 竹竿だけでは証拠にならないと言うと、A子は「じゃあこれに血でもついていればいいんですか」と聞く。それでも駄目なのだ。それがDNA鑑定でA子の血だというところまでは判明したとする。しかし、それが夫が殴った時に付いた血だというところまで立証しなければならない。
 そう説明するとA子は不本意な顔で竹竿を持ち帰った。

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤田 紀子
弁護士 藤田 紀子
藤田・曽我法律事務所代表弁護士

仙台で弁護士を始めて50年以上。

この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。

注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。