10月10日 (2018-10-10)

 A男の妻は、小学校3年生の子どもを連れて家を出て行った。
 妻は、家を出る際、毎週日曜日には子どもに会わせることをA男と約束した。
 しかし、A男の妻は、何のかんのと屁理屈をこねては、子どもに会わせてくれない。A男は、妻には未練はないが、自転車の乗り方を教えたり、キャッチボール等して一緒に遊んだ子どもは、今頃どんなに寂しい思いをしているだろうと気になって仕方がない。
 そこで、A男から依頼を受けた私が、妻へ手紙を出して子どもとの面会を催促した。やっと妻から返事が来て、「来月の第3日曜日の12時から13時までの間、 ファミリーレストランで私(妻)も同席の上、1時間だけ会わせる。但し、3人分の食事代は、A男が負担して下さい」と言って来た。これを聞いたA男は、カンカンだ。「毎週子どもと会わせると約束したはずだ」、「妻も一緒は嫌だ」、「1時間は短すぎる」と文句を言う。
 しかし、子どもは、いま妻のところにいるのだ。つまり、妻は強い立場で、A男は弱い立場なのだ。いくら約束が違うとA男が怒ってみたところで、妻から「それでは会わせません」と言われてしまえば、どうしようもないのだ。
 私がA男の代理人となって妻に対し、面会交流調停の申立をすることにしたが、第1回調停期日は、約1ヶ月後にしか入らず、そこで話し合って、実際子どもに会わせてもらうのは、早くても2ヶ月後になる。それなら、ともかく妻の言いなりになって、来月子どもと会ってみた方がいいでしょうと私は勧めるが、A男は、いま自分が弱い立場にいるということをなかなか理解しようとしない。

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤田 紀子
弁護士 藤田 紀子
藤田・曽我法律事務所代表弁護士

仙台で弁護士を始めて50年以上。

この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。

注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。