6月10日 (2017-6-10)

 A子に裁判所から訴状が届いた。120万円支払えというB夫からの請求。
 訴状の内容をみてみると、教師をしていたA子の父が、生前教え子であったC子が卒業して就職し、部屋を借りる際に保証人になったという。しかし、C子は2年間全く家賃を払わないので、保証人が支払うべきだ、そして、その保証人であるA子の父が死亡しているので、相続人であるA子が払えということである。
 A子は、父親からC子の保証人になった等という話は聞いたこともなく、父親は、もう5年も前に亡くなっている。訴状に添付されていた証拠書類の部屋の賃貸借契約書をみると、最初の契約は12年も前で、2年毎の自動更新がされてきたようだ。
 私は、A子の代理人として、部屋の貸主からはこれまで1回も請求されたことがなく、2年間もC子に家賃を滞納させるがままにしておいた貸主にも責任があること、更新時に保証人の意向も生死も確かめず自動更新したからといって、相続人に請求するのは貸主の権利の濫用だと主張した。
 裁判所は、和解を勧め、B夫も、C子が明し渡してくれるなら、A子に対しては請求額を半額にしてもよいと譲歩してくれたのだが、肝心のC子が他に住む所がないといって明渡しに応じない。結局和解はできず、判決で、A子は、B夫に対し、120万円を払えということになった。
 その後、訴訟外でB夫と交渉し、120万円は払うが、今後の保証については解除してもらうことで話し合いがついたが、つくづく保証人の責任は重いと感じた。

 丁度同じ頃、また同じような依頼がきた。
 D太郎が賃借人の保証人になっていたところ、その賃借人が借家内で自殺してしまった。借家のクリーニング代だけでなく、今後借手がつかないその補償もしてほしいとの家主からの請求だ。
 判例を調べてみると、2年間の家賃補償を認めているケースが多い。D太郎はまさか賃借人が自殺するとまでは思わず、善意で保証したのだろうが、その代償は大きい。
 親の遺言で「保証人にはなるな」と昔から言われてきたと聞くが、まさにその通りだ。

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤田 紀子
弁護士 藤田 紀子
仙台で弁護士を始めて50年以上。

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