2月20日 (2017-2-20)
土木会社の社長が、若い社員A君を、私の事務所に連れて相談に来た。
別れた妻からA君に不貞の慰藉料を請求する内容の訴状が届いたのだという。
A君は、妻が暴力を振るったり、口うるさくなじったりするので、帰宅するのが嫌になり、車の中で寝泊まりしていたのを、浮気して外泊したと勘違いされたのだという。結局A君と妻は、財産もなく、子どももいなかったことからやり取りなしで協議離婚したが、今回突然裁判所から訴状が届いたとのことであった。
専ら社長がしゃべる。「こいつは、本当に気のいい奴で、女房の言うことは何でも聞いてやって、給料もすべて女房に渡していた。女房は、自分の高価なアクセサリーとかばかり買って、こいつは弁当も小遣いも持たされないで、ひたすら働いていたんだ。むしろ、女房から慰藉料を取ってやりたいくらいだ」とまくし立てる。
A君はというと、「もう別れたから、こちらから請求するなんてことはしないでいいんです。300万円の請求だけれど、100万円位なら給料から分割で払ってやってもいいんです」と言っている。
社長は、「弁護士費用はオレが出してやる」、「お前がどんなにまじめだったか、浮気なんかとんでもないという内容で、他の社員から陳述書を取ってやる」と一生懸命だ。
土木の仕事は、「3K」と言われ、なかなか働き手を確保できない中で、A君は、きっとよく働く、真面目な気持ちの良い青年なのだろうと、私も、A君のためにできるだけのことはしてあげようという気持ちになった。
この記事を書いた弁護士
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藤田・曽我法律事務所代表弁護士
仙台で弁護士を始めて50年以上。
この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。
注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。
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