6月20日 (2015-6-20)

 今年は、ベトナム戦争終結40周年である。
 あらためて近藤紘一という新聞記者の書いた「サイゴンのいちばん長い日」を読んでみた。
 サイゴン(現ホーチミン)陥落を書いたノンフィクションである。アメリカは最盛時五十数万人の将兵をベトナムに送り、南の貧乏な若者も北の指導部に駆り立てられた北の若者も、虫けらのように死んでいったという。
 私が、大学生の頃、校庭にも学食にも、「ベトナム戦争反対」、「アメリカの侵略を許すな」、「エンタープライズ寄港反対」といった立て看板や写真が所狭しと掲げられ、ナパーム弾で傷ついた子どもたち、枯れ葉剤作戦で荒野と化した森など、嫌でも目にした。市民のベ平連(「ベトナムに平和を!市民連合」の略)の活動も活発だった。ベトナム戦争が終結したのは、このような世論に押された一面もあったであろう。
 これこそ積極的平和主義ではないかと思う。
 先月集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案を閣議決定し、安倍首相は、「抑止力が高まって、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなっていく」と強調したが、本当にこれが平和につながるとは到底思えない。そして、来年秋頃には、憲法改正の発議が現実化しかねない状況だ。
 それなのに、いま大学には、かつての安保闘争のような熱気がみられない。そのことにも、私は危機感を募らせている。

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤田 紀子
弁護士 藤田 紀子
仙台で弁護士を始めて50年以上。

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