3月10日「負動産」

 今、全国的に不動産ならぬ「負動産」が問題になっている。A夫も、若くて元気で、船を乗り回して釣りに興じていた頃に島の一部を買って家を建てて、友人らを招待して魚料理を振る舞ったりしていたが、もう80歳近くにもなり、健康を害して、船に乗ることもなくなった。年金生活で苦しく、島の土地の固定資産税を滞納していたところ、市から滞納処分執行の予告書が届いて、私の事務所に相談に来た。

 知り合いの不動産屋に売却できるか相談してみたが、全くダメ。そこで、市に対して物納することはできないか、あるいは滞納処分で競売されてもかまわないと「お願い」の文書を出してみたが、回答は「物納は認められない。強制執行はこの島の土地に限らず、差押えする財産を選択する。」ということであった。A夫は、子どもたちに迷惑はかけられないと観念して、渋々に税金を払うことにした。

 過疎地で何代にもわたって相続登記されることなく放置されている土地や、今では誰が所有者かわからず荒れ放題になっている土地は、日本全国至るところにある。国は、そろそろ放置された土地の管理や利用について法律を作って対策を立てねばならないだろう。過疎地だけではなく、都心の高級マンションでも沢山の問題がある。

 B子の相談は離婚についてだが、夫と、離婚と子どもの親権や養育費についての合意はできているものの、問題はマンションの購入時に借りたローンの返済である。約6千万円のローンのほとんどが残っていて、これまで共働きの夫婦の給料から合わせて毎月十数万円は何とか支払いができていたが、離婚して一人の収入では、とても支払えない。売却しようにも、いわゆるオーバーローン(ローンの残額がマンションの価格を上回る状態)で、売ることもかなわない。今は実家で生活しているので、マンションがなくても差し支えないのだが、B子もローン契約の債務者になっているので、ローン会社がB子の給料を差し押さえるかもしれない。それは困る。今さら夫と仲直りして一緒に生活する気にもなれない。本当にニッチもサッチもいかないのだ。よくもこんな高いローンを組んだものだと呆れるが、今さら悔いてみても仕方なく、私も良いアドバイスができないのだ。

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤田 紀子
弁護士 藤田 紀子
藤田・曽我法律事務所代表弁護士

仙台で弁護士を始めて50年以上。

この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。

注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。