10月10日 (2011-10-10)
A子は、夫と一〇年も前に離婚した。
当時、一才と三才だった二人の女の子を女手一つで育て、その子どもらも今は多感な少女である。
別れた夫は、破産して収入もなかったことから、養育費ももらわず、A子は実家の旅館業を手伝いながら頑張って来たのだ。最近、同じ業界の男性と再婚する話が進み、二人の娘たちもB氏に馴染んで、同居に向けて着々と準備中である。
そんな中、元夫から子どもたちに面接したいという調停申立がなされた。
A子にしてみれば、「えー、何で、今になって?」という気持ちである。娘たちは、父親の顔も覚えていないし、せっかく新しいお父さんができるというのにと困惑して、私の事務所に相談に来た。
何回か調停を重ね、さしあたり今は娘たちの写真を渡す、父親から娘たちに手紙を書いてもらい、娘たちが会ってもいいという気になったら、具体的に日時・場所・方法を決めるということで、やっと合意した。
一方、C子は、生まれたばかりの子どもの親権者になって、離婚することに合意したが、夫が、今後、子どもとの面接について、何の要望も出さないことに不信を抱いている。養育費は、毎月払うことに決めたものの「夫は、もう子どものことを捨てた気持ちでいるのでしょうか、男親とはそんなものなのでしょうか」と寂しい気持ちでいる。
この記事を書いた弁護士
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藤田・曽我法律事務所代表弁護士
仙台で弁護士を始めて50年以上。
この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。
注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。
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