3月10日 (2011-3-10)

 A先生は、国立大学理学部の教授で、数学の分野ではとても偉い先生らしい。その方A先生が、私の依頼者となった。
 依頼の内容は、A先生の妻のB子が息子の家庭教師であるC男と恋仲になり、家を出てC男と同棲しているということで、A先生は、しきりに、「こんなことが許されて良いのでしょうか」と憤っている。もちろん許される訳はない。しかし、それは、あくまでも道義的に許されないということであって、姦通罪が廃止されている今、刑事責任を問うことはできない。民事の裁判で、慰藉料を請求するのみである。
 A先生は、家庭教師を派遣している会社に対しても、責任を追及したいと言うが、家庭教師が未成年の子女にわいせつ行為をしたというのなら、会社の監督責任、使用者責任が考えられるかもしれないが、大人の人妻と不倫に陥ったからといって、会社に責任を取れというのはちょっと無理な話である。
 結局、B子とC男に対し、三〇〇万円の慰藉料請求の訴を提起した。
 いろいろ主張・立証・証拠調べをして、先日、判決で二〇〇万円の慰藉料が認められた。私としては、満足すべき結果だと思ったが、A先生は、納得できない。一番納得できないことは、裁判の中で、B子が「一〇才以上も年の離れた夫からいつも威圧的な態度をとられた」と主張し、判決文の中で、「かりに、AがBに威圧的な態度をとったとしても、これを以て不貞を正当化することはできない」と書かれた部分である。A先生は、「私は、決して威圧的な態度はとっていなかった」と言う。私が、いくら「これは、威圧的な態度をとったと認定しているのではなく、かりにそうだとしても、そんなことは理由にならないと言っているのですよ」と説明しても、A先生は、納得してくれない。
 こうなると、もう法律論ではなくて、文章の解釈問題で、中学生位のレベルの話である。偉い数学の先生には理解できないのであろうかと、私は頭を抱えてしまう。

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤田 紀子
弁護士 藤田 紀子
仙台で弁護士を始めて50年以上。

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