7月10日 (2014-7-10)
A子は、夫の暴言・暴力に耐えかねて、離婚を決意し、私の事務所に相談に来た。
A子の夫の写真を見せてもらったが、筋骨隆々、こんな男に叩かれたらさぞ痛いだろう。現に、A子は顔面を殴られて前歯を折られたり、携帯電話を投げつけられ眼鏡が壊れ、レンズで顔面を切って出血したり、腕にあざができたり、散々な目にあってきた。夫の暴言も、「てめぇ、ブッ殺すゾ」、「また血が見たいか」など、まるで暴力団みたいだ。
A子の依頼を受け、私から夫に対し、離婚したい旨の手紙を出したところ、早速、夫から謝罪となんとか元に戻ってやり直したいという綿々と心情をつづった返事が来た。
しかし、A子の離婚の意思は変わらず、離婚調停の申立をしたところ、夫にも弁護士がつき、その弁護士から、調停期日の前に「(夫が)私の事務所に来て、泣くんですよ。なんとか調停を取り下げてもらえませんか」と言われたが、A子は、もちろん調停を取下げなかった。また、第1回の調停期日に、調停委員からも「彼がさめざめと泣いて、なんとしても別れたくないと言うんですよ」と聞かせられた。
夫の風貌と「泣く」ということが、どうにも結びつかない。泣くほど別れが嫌なら、なぜ暴言・暴力をふるったのか。
そもそも紳士は、絶対に女性に手を挙げないものだし、昔は、日本男子は、絶対涙をみせるなと育てられたのではないか。
彼は、紳士でも日本男子でもないのか。
この記事を書いた弁護士
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藤田・曽我法律事務所代表弁護士
仙台で弁護士を始めて50年以上。
この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。
注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。
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