1月10日 (2018-1-10)
私は、自分が尊厳死協会に入ってリヴィングウィルを書いているだけではなく、周りの友人にもリビィングウィルを書いておくことを勧めている。そうすることによって、意識がなくなって回復する見込みのない症状なのに、管だらけでいつまでも生かされることを、元気なうちに拒否しておくのだ。
しかし、日本では尊厳死に関する法律が未だできていない。だから医師は、延命治療をしないことをためらう。万が一、何も治療しないことによって、殺人罪や過失致死罪に問われることになったら大変だからだ。
この度、韓国で延命措置を差し控え、中止を認めた尊厳死法が制定された。
10の韓国医療機関で、臨終を迎える患者に対する心肺蘇生法などの延命治療を拒否したり、中止したりすることができるようになる。無意味な延命治療に苦しむのではなく、「尊厳死」を選択できるようになるのだ。
そもそも、立法化の大きなきっかけとなったのは、セブランス病院事件と呼ばれた医療裁判だった。同病院に入院した「キムおばあさん」が持続的植物状態となり、家族は「おばあさんは常々『延命医療はイヤ』と言っていた」と訴えて、医師に人工呼吸器を外すように求めたが、同意を得られず、裁判を起こした事件だった。全国的な関心が集まり、尊厳死が社会問題となった。2009年に最高裁で、取り外しを認める「尊厳死判決」が確定し、法制化が政府の課題となった。
この事件がなければ、今回の立法もなかっただろう。
日本でも一日も早く尊厳死を認める法律ができることを望む。
この記事を書いた弁護士
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藤田・曽我法律事務所代表弁護士
仙台で弁護士を始めて50年以上。
この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。
注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。
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