12月10日 弁護士稼業
弁護士という仕事は、他人のためになっていることがあるが、逆に他人から恨みを買うこともある。
以前、離婚事件の相手の男性から、私のせいで離婚になったと恨まれ、「お前の自宅に放火して自分も死ぬ」という脅迫文が舞い込んだこともあるし、私の自宅の前に車を停めて、ずっとお経のテープを流されたこともあった。いわゆるヤミ金を相手に警告文を出したときにはヤミ金から事務所にファックスを山のように送られ、朝事務所に行ってみるとファックス用紙がそこら中に散らばっていたということもあった。
友人の弁護士からも、「頼んでもいない出前寿司が30人分届けられた」とか、「誰も死んでいないのに弔電が30通も届いた」とかいう話を聞いたことがある。たいていは大事なく済んだが、あまりに脅迫がひどく、警察に相談したこともあった。
私を脅迫した男は起訴され、国選弁護人を付ける条件として、「自分は、藤田以外は弁護士と認めない。藤田を弁護人に付けてくれ」と言ったという。私は被害者ですよ、被害者が加害者の弁護人になれますかと憤ったり、呆れたりしたこともあった。
逆に、以前境界確定事件で相手方にした男が、そのときの私の働きぶりに感心して、今度は自分の貸金返還請求事件の代理人になってほしいと依頼に来たこともあった。
長年弁護士をやっていると、いろいろなことがあるものだ。
この記事を書いた弁護士
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藤田・曽我法律事務所代表弁護士
仙台で弁護士を始めて50年以上。
この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。
注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。
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