9月10日 話をじっくり聞く
良い精神科医はゆっくり患者の話を聞くという。自分の辛いことや悩みを聞いてもらうことによって、患者が快方に向かうことが多いそうだ。
弁護士の仕事は依頼者の法律的問題を解決すること、と私は割りきって考えていたが、長年やっているうちに、弁護士も精神科の医者としての役割を兼ねているのではないかと思えてきた。
若くて、依頼件数もたくさんあって多忙だったときは、依頼者の話をできるだけ短時間で聞いて、後は訴状や準備書面を書いて、証人申請をして尋問して、というのが弁護士の主な仕事だと考えていたが、最近、依頼者の話を十分に聞くということが大事なのではないかと、遅ればせながら気が付いたのだ。
とくに離婚とか、遺産分割とか扶養とか、いわゆる家事事件については、依頼者が何故このような要求をするのかという背景事情が大事で、これを把握するには時間をかけて依頼者の話を聞かなければならない。そうすることによって、弁護士と依頼者との信頼関係も深まり、事件の進行に関して私がアドバイスすると、快く受け入れてもらえる。
今私の抱えている事件数は、ひと頃の半分以下になっている。それだけ時間も出来たので、一件一件を丁寧に時間をかけてやっていこうと、謙虚な心掛けでいるのだ。
この記事を書いた弁護士
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藤田・曽我法律事務所代表弁護士
仙台で弁護士を始めて50年以上。
この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。
注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。
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