5月20日 ほかの人は?

横並び

 A子は別居中 の夫から「離婚したい」という手紙を受け取り、私の所に相談に来た。A子にあなたは離婚をしたいのかと聞いたところ、自分も離婚したいのだと言う。子どももいないし、結婚したばかりで二人で築いた財産もないのだから、物やお金のやりとりなしで協議離婚しましょう。早速離婚届に署名したのを相手に送りましょう、と言うと目を丸くして「そんなにさっさと決めてしまっていいんですか?」と言う。そして、「他の人はどうしてるのでしょう。こんなにさっさと決めるんですか」と聞く。「だってあなたも離婚がしたいのでしょう。さっさと決めて困ることでもあるのですか?」と私が聞くと「そんなことはないですけど、何か、ふつうの人と違ったことをしているようで落ち着かないのです」と言う。他の人、ふつうの人のことを考える必要があるのだろうか。

 B子もそうだ。別居中に夫から子どもに面会させてくれと行って来た。私はB子の依頼を受けて離婚調停の申立を準備中だったが、それに先立って子どもを夫に会わせるつもりがあるかをB子に聞いたところ、「他の事例はどうですか?離婚調停もしていないのに子どもに会わせていいものかしら・・・」と他の事例を気にする。

 人によって離婚と親権者が決まるまでは夫に子どもを取られるおそれがあるから会わせたくない、とか、夫と子どもの関係は悪くなかったから夫婦の争いとは別に子どもはいつ夫に会ってもかまわない、とか、人それぞれである。自分はどう考えているのか、が大事なのである。

 日本人は、横並びをすることで安心する国民性だとよく言われ、面白い諺(ことわざ)に「沈没しそうな船から早く飛び下りさせるのにイギリス人に対しては『それが紳士のすることだ』と言い、アメリカ人に対しては、『大丈夫、保険がかかっている』と言い、日本人に対しては『皆様お揃いで飛び込むことになっています』と言えばよい」と言われているが、全くその通り。

 以前、豊田商事のまがい商法の事例をやっていたが、金のセールスマンが言うことには、「この団地の奥様方はほとんど皆金を買われましたよ」と言うとたいていの主婦は金を買ってくれたということだった。

 自分のことは自分で考えねば。  政府の答弁を聞いていても「諸外国の動向を見、諸外国と連携して対応したいという答弁の何と多いことか。

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤田 紀子
弁護士 藤田 紀子
藤田・曽我法律事務所代表弁護士

仙台で弁護士を始めて50年以上。

この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。

注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。