1月20日 (2021-1-20)
A子の夫はドイツ人。夫から離婚したいと言われている。その理由がA子には納得できない。夫は植物学者で日本各地を回って珍種を集め、標本を作ったり論文を書いたりしている。最近子供ができて夫はそれなりに子供をかわいがり、以前より家にいることも多くなってA子は喜んでいたのだ。それが、だんだん夫はふさぎ込むようになり、時にはA子に対して声を荒げたりする。この1ヶ月はまともに口も聞いてくれない。
しかしクリスマスパーティーを開いて友人を招き、人前ではA子に優しくしてくれるし、プレゼントも贈ってくれる。
A子の相談を受けて夫に離婚したくはない、離婚原因が納得できないという手紙を出したところ、夫が事務所にやってきた。離婚したい第一の理由は、自分の学問を追求するためには妻子が邪魔になるということだ。そんな勝手な言い分はないでしょうと反論したが、夫はそう言われても自分のことを理解してくれないA子の顔を見ているだけでイラつくし、このまま同居していると心底憎しみ合うことになる。少しでもまだ相手を思いやる気持ちが残っている間に別れたいと言うのだ。そして人前で妻に優しくするのは男としての礼儀に過ぎず、それを愛情と思ってもらっては困ると言うのである。
さて、どうしよう。夫の言い分も全くわからないわけではない。しばらく毎月の生活費の支払いとか子供との面会とかの条件を決めて別居契約をするか。日本ではあまり別居契約は行われていないが、欧米では当たり前のことで私はとても合理的だと思っている。
この記事を書いた弁護士
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藤田・曽我法律事務所代表弁護士
仙台で弁護士を始めて50年以上。
この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。
注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。
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