12月10日 (2020-12-10)
A男の相談は借金の取り立てだ。中学校の同級生B夫にばったり会い、飲んで話すうちに金を貸してくれと頼まれ最初は3万、次に5万、それから何回か貸すうちに100万円近くになった。そこで一筆借用証を書いてもらった。
仕事がうまくいったら返すと言われてもう2年になる。最近では連絡もつかなくなってしまった。もうこうなったら裁判しかないと私の事務所に来たのだった。ちゃんと借用証もあるから勝てるでしょうとA男は言うのだが、裁判で勝てるかどうかが問題ではない。問題は実際に取れるかどうかなのである。試しに住民票の住所の土地・建物の登記簿謄本を取ってみたがB夫の名義ではない。仕事も何をしているのかわからずB夫の収入や資産はほとんどゼロだと思わざるを得ない。そんな人を相手に裁判を起こして判決を取ってみてもB夫は裁判で負けたからといって払うような人ではないだろうし、強制執行しようにも押さえるべき財産もない。そんな人に何回にも渡って100万円を貸したことを反省するしかない。これ以上裁判にお金をかけないほうがいいと思いますよとA男に忠告するのも弁護士の仕事と私は思っている。
この記事を書いた弁護士
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藤田・曽我法律事務所代表弁護士
仙台で弁護士を始めて50年以上。
この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。
注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。
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