8月20日 (2020-8-20)

 先日宮城県の片田舎に遺産のことで出張相談に行った。話を聞き終わって帰ろうとしたら昼食に寿司の出前を取るから待ってくれと言われ、次の仕事もあるからすぐ帰ると言うと、奥から「先生さメシもかせねでけえしたら、ばんつぁんにごしゃかれっど」とじいさんの声がした。久しぶりに聞く立派な方言だ。「先生にご飯も食べさせないで帰したらばあさんに怒られる」と言うのである。
 昔はよく方言を聞いた。離婚したいという女性に亭主のどんなところが我慢ならないのかと聞いたら「たれかごかしのかばねやみ」だという。怠け者で仮病ばかり使っているということだ。
 私も東北で育ったので大抵の東北弁は理解できるし、自分でも東北弁を喋ることも度々だ。結婚したばかりの頃、夫の恩師から掛かってきた電話に私が「おばんでございます」と対応したら、夫から「東北弁で挨拶して恥ずかしいじゃないか」と言われた。「おばんでございます」は「こんばんは」の丁寧語だと思っていた。「こんばんは」なんてぶっきらぼうだから丁寧に「おばんでございます」と言ったつもりだったのだ。夫に「じゃあ『こんばんは』を丁寧に言おうとしたら何て言えばいい?」と聞くと「そんなのはない」という返事。
 例えば「いづい」という東北弁、これに該当する標準語はない。人の話を聞きながら「だれーん」「だれーん」と相槌を打つ。「誰がそんなこと言っているの?」という相槌で、こう言いながら聞くと喋るほうはますます興が乗ってくる。
 夫は広島県の出身で、帰省をすると「はよ来てみんさい、えげになっとるで」「そやからわしもそうゆうとったんじゃ」などと広島弁丸出しである。皆標準語で方言が聞かれなくなるのは寂しい。 

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤田 紀子
弁護士 藤田 紀子
仙台で弁護士を始めて50年以上。

この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。