7月20日 (2020-7-20)

 黒川検事長が賭け麻雀をやっていたことが明らかになって辞職した。 1000点100円のレートで賭けていたことが明らかになり、これは刑法185条の賭博罪に該当するということで告発もされている。
 刑法185条は「賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りではない。」と規定する。「一時の娯楽に供する物」とは判例で「関係者が即時娯楽のため消費するような物をいう」とされており、「金銭はその性質上一時の娯楽に供する物ではない」「敗者に一時の娯楽に供する物の対価を負担させるため一定金額を支払わせた場合は、賭博罪を構成しない。」というのも大正時代からの一貫した判例である。つまり負けた人が勝った人にお茶をごちそうしたり、会費制で勝った人が賞品をもらうという場合は不問に付するということである。
 しかし、今街中で営業しているいわゆる雀荘に集まる人達が全く金をかけないで麻雀をやっているとは思われない。1,000点100円までなら取締りの対象にならない、となんとなく巷でいわれているが、1円でも賭ければ賭博罪には該当するが、単にあるところまでは大目に見られているという現状なのである。それならいっそのこと「1000点100円までは許容する」という法律改正をやるか通達を出した方が良いではないかという意見もある。しかし一ヶ月10万円の生活費で暮らしている人と一ヶ月1,000万円の収入がある人と同じでいいのかという議論もあろう。意外と奥の深い問題である。
 これに似た問題で私がいつも疑問に思うのは速度規制である。先日も規制速度違反で捕まってしまったので頭にきている。
 40キロ制限のところを皆60キロ以上でビュンビュン飛ばしている。歩道との間にはガードレールもあるし、車道は二車線で幅もあるし見通しもよいのでなんでこんな道を40キロ制限にするのか訳がわからない。もし40キロ以下で走っていたらかえってスムーズな走行を妨げるのではないかと思ってしまう。
 私が捕まって速度監視器を見せられたら61キロになっていた。確かに速度違反である。しかし、40キロ以上で走行している車をすべて捕まえるのではない。速度監視器を60キロにセットして、60キロ以上の車を捕まえているのである。高速道路でも80キロ制限のところの取締機は100キロにセットして、それ以上の車を捕まえると聞く。80キロから100キロまではいわゆるグレーゾーンなのだ。それなら初めから規制を80キロではなくて100キロにすればよいと思うのだが、そうはいかないのだろうか。

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤田 紀子
弁護士 藤田 紀子
藤田・曽我法律事務所代表弁護士

仙台で弁護士を始めて50年以上。

この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。

注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。