10月10日 (2019-10-10)

 A子は手芸が得意で、細々と人形や小物を手作りしては施設や近所の人にあげている。
 その評判を聞いたB氏がやって来て「あなたの作品もやっていることもすばらしい。私の発行している雑誌で是非紹介したい」と言って取材し、作品をいくつか写真に撮って行った。
 その後、「あなたの作品を展示したい。販売するとかなりの利益が出ると思われるが、先づ展示会場を借りたり色々な費用がかかるので、とりあえず100万円を預けてほしい」と言われ、A子が「そのような大それたこと夫に相談してみます」と言ったところ、B氏は「いやいやこれは女性特有の仕事です。旦那様に相談しても得るところはない。展示会当日に旦那様に打ち明けてアッと驚かせた方が良いでしょう」と言われ、A子もその気になってB氏に100万円を預けた。その後、B氏と連絡がつかなくなったという。
 明らかな詐欺だ。B氏の名刺に書かれた株式会社の登記簿謄本を取ってみても、住民票を取ってみても、いずれも実在しない。もちろん電話もつながらない。告訴することも考えたが被害を取り戻せるかどうか…。
 夫に相談することを断られた時に詐欺を疑うべきだったのだ。通常男性は社会的に仕事もしていて常識を身につけているから「これはおかしい」と気付く確率は高い。A子は外で働いたこともなく、世間の荒波にもまれたこともなく、人を信じやすいお人好だったのを狙われたのである。
 A子は大いなる勉強をした訳だが、その対価が100万円とはあまりに高すぎた。

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤田 紀子
弁護士 藤田 紀子
仙台で弁護士を始めて50年以上。

この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。