7月10日 (2018-7-10)
先日仙台市中心部の街角で、弁護士十数名が街宣署名活動を行った。
安倍政権の元で、憲法9条の改正はさせない、平和憲法を守ろう、というもので、私も参加した。
日本が海外で戦争をしてこなかった大きな力は、憲法9条の存在が大きい。これに自衛隊の存在をわざわざ書き込む必要がないのではないか、自衛隊は災害救助や国内防衛に尽力していることは国民がよく分かっている。危険な戦闘地域に送り込むことはしたくないという趣旨のことを弁護士が代わる代わるマイクを持って訴え、私たちはビラを配ったり、署名を求めたり、1時間も街角で活動した。
しかし、街行く人たちの何と関心の薄いことか。たいていスマホを見ながら、あるいはイヤホンをつけたまま私たちを避けて通り過ぎる。特に、若者がそうだ。愕然とした。
次の日、在日ドイツ大使館のメラー博士の講演を聴いた。
ヨーロッパで盛んになりつつあるポピュリズム・排他的考えの人々にどう対処するか、という内容であった。ポピュリストの政党を支持する国民は、十数パーセントに過ぎない。あとは明らかに排他的政策を非難する人たちだという内容の話を聴いて、私は質問した。
「日本では、例えば、集団安保法や働き方改革に賛成か、反対か、国民に意見を聞いても、特に若者の間で、『そんなことはどうでもいい、目先のゲームやスポーツ、恋愛の方に関心がある』という人たちが多いが、ドイツではどうですか」と。
メラー博士曰く、「ドイツには政治・経済機構というのがあって、多くのボランティアが活躍している。どのような活躍かというと、いろいろな職場、学校、サークルに出向いて、あらゆる層の人たちの意見を聞き、討論する。例えば、シリアからの難民を受け入れた方がよいか、それは、どの位の規模にすべきか等という問題について、いろいろな分野の人々から意見を徴収する。だから全く無関心という人たちは少ない」ということであった。そして、「日本には、そんな機構はありませんね」と言われた。全くそのとおり。
この記事を書いた弁護士
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藤田・曽我法律事務所代表弁護士
仙台で弁護士を始めて50年以上。
この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。
注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。
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