4月20日 (2018-4-20)

 五月病というのがある。せっかく張り切って入学・入社したのに、学校や職場が思うような所ではなかったと失望して鬱状態になり、学校や会社に行きたくないという病気のようである。
 私も、張り切って弁護士として仕事を始めたばかりのことを思い出す。債務整理事件を受任すると、まるで私が多額の借金を背負った様な気持ちになり、「どうやって返済しようか」、「債権者が減額や猶予に応じてくれなければどうしよう」と悶々としていた。また、離婚したくないのに、夫から離婚を迫られている妻の事件では、「どうしたら夫の気持ちを変えられるだろうか」、「今まで妻のどのようなところが嫌われたのか」と、自分のことのように考え込んだ。
 しかし、しばらくして、これではやっていけないと気がついた。事件を客観的に見て、自分の感情を入れることなく大所高所から解決を図ることが有能な弁護士なのだ、と先輩からも教えられた。
 医者でも同じことが言えると聞いた。患者の痛みを自分の痛みと感じることも必要かもしれないが、それよりも、医学的な見地から回復のための技術を駆使することこそが必要なのだと。
 新入生・新入社員に最初からそのようなことを期待するのは難しいかもしれないが、自分一人で何でも背負い込んで頑張って倒れてしまわないで、「自分にできるのはここまで」と割り切る方が長続きするのではあるまいか。
 50年近く弁護士をやって来た者からの一つのアドヴァイスである。

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤田 紀子
弁護士 藤田 紀子
仙台で弁護士を始めて50年以上。

この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。