9月10日 (2017-9-10)
夫婦が離婚するに際しては、夫婦財産の清算をしなければならない。
それぞれの名義の預貯金、車、不動産などの価値を出して、原則、足して2で割る。夫名義の財産が1千万円、妻の名義の財産が200万円だとすると(1千万円+200万円)×2分の1=600万円、妻は足りない分の400万円を夫からもらうという計算だ。
手許にある現金、預貯金などで分けるなら納得もいくが、A男が納得できないのは退職金だ。A男は、公務員で定年時には退職金が出ることはほぼ間違いない。でも、それは9年先のことだ。
しかし、退職金も財産分与の対象になることはほぼ通説だ。それは、9年後の退職金の額ではなく、もし今退職すればいくら退職金が出るか、その金額が分与の対象だ。
A男の場合、それが1千万円以上で、今その半分を離婚する妻に分けなければならない。といっても、いま現在A男の手許に何百万円もの金はない。
離婚調停において、A男は、離婚する妻に分割で支払うことでやっと合意したが、A男は、「何でオレの稼いだ金を分けねばならないんだ」と釈然としない。
B男は、自動車販売業から身を起こし、2つの同族会社を経営するまでになり、それはB男の才覚と猛烈な努力によるところが大であり、妻は誰にでもできる簡単な帳簿付けをしていただけで、あとは育児と家事をしていたにすぎない。だから妻の寄与率は2割くらいだと主張した。しかし、離婚事件の判決で妻に5割の寄与度が認められてしまった。
「妻が家事、育児をしてくれたからこそ、あなたは仕事に専念して稼げたと考えなければならない」と説明しても、A男もB男も本心から納得していない。
この記事を書いた弁護士
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藤田・曽我法律事務所代表弁護士
仙台で弁護士を始めて50年以上。
この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。
注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。
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