4月10日 (2017-4-10)
法廷で、弁護士の一番の腕の見せ所は証人の反対尋問である。
主尋問は、こちらが申請した証人なので、予め証人と打ち合わせをし、要領よくスムーズにいくが、反対尋問は相手方申請の証人なので、原則こちら側に敵意を持っていることが多く、こちら側に不利なことばかり述べる。それを矛盾を衝いたり、違う証拠があることを示したりしてだんだんに証言の内容を崩していく。 私の経験で、法廷で相手方証人を反対尋問で追いつめていったところ、証人が答えられなくなって「裁判長、ちょっとトイレに行っていいですか」と言い、休廷になったことがあった。休廷中に、相手方弁護士と打合せをしたのであろう、その後はスムーズに答えられるようになった。しかし、なおも私が問い詰めると、相手方証人は、再び言いよどむようになった。そしたら、裁判長が「またトイレに行きますか」と言ってくれたので、この裁判長はわかってくれているなと嬉しく思ったことがある。
国会での質問をよくラジオの中継で聞く。質問の仕方が生ぬるいと腹立たしい限りだ。森友学園の運営する幼稚園で、園児に教育勅語を暗唱させたり、園児が「尖閣列島、竹島、北方領土を守り、日本を悪者として扱っている中国、韓国が心を改め、歴史教科書でうそを教えないようにお願いします」と述べ、さらに「安倍首相がんばれ、安倍首相がんばれ。安保法制国会通過よかったです。日本がんばれ。エイ、エイ、オー」と唱和したりしていたことを知って驚きだったが、これを追及する野党が甘い。
総理の理事長に対する評価が変わったのはなぜか、夫人が名誉校長を引き受けたこと、辞めたこと、学園の教育方針のどこに共鳴したのか等々突っ込み所がいくらでもあるのに、通り一遍の質問で逃げられてしまう。
私が一番苦心するのは、患者の立場で、医師の反対尋問をする時だが、医師の証言を幾通りも想定して、ああ答えたら次はこう、こう答えたらその時はこうといくつも質問の仕方を変える。
国会議員にも、もっと尋問技術を勉強してほしいものだ。
この記事を書いた弁護士
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藤田・曽我法律事務所代表弁護士
仙台で弁護士を始めて50年以上。
この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。
注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。
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