11月10日 (2016-11-10)

 A子は、バーで飲んでいる時に隣の席の男にからまれ、口論となった挙げ句、顔面を殴られてケガをした。
A子は、相手の男を処罰してもらいたくて刑事告訴をしたが、民事的なお金の問題は解決しないので、損害金と慰藉料を請求すべく私の事務所に依頼に来た。
 話し合いで決まるかなと思い、調停の申立をした。
A子は、治療費の他に、顔に傷が残り、これまでのような接客業ができなくなった損害、それが原因で鬱になったことによる将来の不安に対する慰藉料を請求したが、相手の男は、A子の顔の傷は目立たない、鬱になった原因は他にあるだろう等と反論し、A子が請求した金額の5分の1にも満たない額しか払うつもりはないと言う。
 これまで3回の調停は、双方本人も出席して、調停委員も交えて1回につき、2時間近く話し合ったが、合意に至らなかったので、仕方がない、本裁判にしようということになり、提訴した。
 本裁判の1回目の期日(法廷)の前に、A子は、興味ある友人3人を連れて来たいと連絡して来た。調停は非公開だが、法廷は誰でも傍聴できるので、「いいですよ」と私は答えた。「ただ、法廷での1回目の弁論は、たった2~3分で終わりますよ」と言うと、A子は驚いた。A子は、私の隣に座り、裁判官からいろいろ聞かれて、その場で自分の意見を述べられるとばかり思っていたのだ。
 実際の裁判とは、たとえば、10時指定の事件が、5~6件ある。傍聴席に弁護士あるいは本人が座っている。裁判官が入廷して、廷吏が事件番号を読み上げると、その事件の当事者が、それぞれ原告・被告席に着く。訴状や答弁書は、前以て提出してあるし、裁判官も、それに目を通しているので、法廷でいちいち読み上げることはしない。裁判官が、答弁書に対する再反論や証拠があれば、それをいつまでに提出するように言って、次回期日を決める。それでおしまい。そして、廷吏が、次の事件番号を読み上げる。こうして、11時までの間に5~6件片付く。
 11時からは、弁護士がついていない本人訴訟を、これは1件に20~30分時間を取る。本人は、きちんとした書類を提出しないし、提出しても何を書いてあるのか要領を得ないことが多いので、裁判官が本人にいちいち釈明をするので、時間がかかるのである。
 午後は、証人尋問に充てることが多い。1件で2~3時間かかる。
 私は、A子に言った。「本裁判になったら、あなた自身が裁判に出るのではなくて、裁判でどのような主張をして、何を証拠に出すか、私と十分に打ち合わせをすることが重要なのですよ。ですから、次にいつ私の事務所に来てもらうか、その日時を決めましょう」と。

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤田 紀子
弁護士 藤田 紀子
仙台で弁護士を始めて50年以上。

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