12月10日 (2014-12-10)

 先月、オレゴン州の29才の女性が、予告通り自宅で医師から処方された薬を服用して死亡した事件が、大々的にマスコミで報道された。
 脳腫瘍で余命わずかと宣告され、それまで住んでいたカリフォルニア州から、安楽死が認められているオレゴン州に転居しての選択だった。
 賛否両論あろうが私は肯定的、いやもっと積極的にそのような選択ができることに羨望を覚える。
 私が日本尊厳死協会に入会したのは、1997年、私の親族が肺ガンの末期症状で意識がないのに、酸素や栄養補給の管だらけになりながら、心臓マッサージによって生かされていた状態を目の当たりにしたからであった。
 「(1) 私の傷病が、現代の医学では不治の病であり、既に死が迫っていると診断された場合には、ただ単に死期を引き延ばすためだけの延命処置はお断りいたします。
  (2) ただしこの場合、私の苦痛を和らげるためには、麻薬などの適切な使用により十分な緩和医療を行って下さい。
  (3) 私が回復不能な遷延性意識障害(持続的植物状態)に陥った時は生命維持措置を取りやめてください。
   以上、私の宣言による要望に従って下さった行為一切の責任はこの私自身にあります」
というリビング・ウィルを書いたものを、私は、常に持ち歩いている。
 しかし、日本ではペントバルビタールとかネンブタールとか、服用したら楽に死ねるという薬を医師が処方することは認められていない。自殺幇助罪になるからである。
 これに対し、2005年に「尊厳死法制化を考える議員連盟」が発足して、「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案」を議会に上呈しようという運動があるが、立法までは、まだまだ紆余曲折がありそうだ。ナチ時代のような障害者切り捨てにつながるのではないかといった不安や、医師免責を第一とした医師優先の法律ではないかという批判があるからだ。
 スイスでは、終末期の病人に対する医師の自殺幇助は免責されるので、スイスを訪れる外国人の「自殺ツーリスト」が、これまで600人を超えているという。
 私も、最後はスイスかオレゴンまで行く旅費だけは残しておこうと思っている。

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤田 紀子
弁護士 藤田 紀子
仙台で弁護士を始めて50年以上。

この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。