2月10日 (2014-2-10)
A男の娘が結婚し、娘婿B郎の両親と同居することになった。
B郎の両親は、小さな自宅に住んでいたが、B郎夫婦と同居するに際し、大改築を行った。その費用は、経済的に余裕のあるA男が1000万円出してやった。
ところが、1年も経たないうちに、B郎夫婦とB郎の両親は不仲になり、家を追い出されてしまった。
A男はおさまらない。自分の出したお金で快適になった家にのうのうと住みながら、若い夫婦2人を追い出すとは!
そこで、私の事務所に来て、B郎の親から1000万円を返してもらいたいと言う。聞けば当然の話である。
改築したB郎の実家の建物の不動産登記事項書を取ってみると、B郎の親名義になっている。床面積も、もともとは100㎡足らずであったのが、増築して倍増している。A男が定期預金1000万円を解約した時期と、増築した時期も疑問を差し挟む余地がない。
しかし決定的な証拠がない。
つまり、A男がB郎の親の家の改築のために出した1000万円の受領証とか貸金契約書がないのである。
さて困った。
A男が出してやった1000万円は、B郎の親に対しての貸金なのか、あるいは建築代金の立替金なのか。他人にお金を貸したり、立て替え払いする時には、それなりに契約書とか立替払依頼書など作成するはずなのにそれがない。したがって、返済時期も不明瞭だ。それならば、自分の持ち家がA男のお金で価値が上がったことにする不当利得返還請求権なのか。
大学の法学部の民法の講義で、あれこれ契約の類型を習ったが、いざ実務になると大学の講義では不十分だったなぁと思うことがしばしばある。
この記事を書いた弁護士
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藤田・曽我法律事務所代表弁護士
仙台で弁護士を始めて50年以上。
この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。
注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。
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