6月10日 (2013-6-10)

 このところたて続けに「未婚の父」からの相談があった。
 A男は19才、高校卒業後、就職もせず、親のスネをかじっている、いわゆるパラサイトだ。サイトで知りあった女性と交際していたが、しばらく連絡が取れないと思っていたら、先日、彼女から久しぶりにメールが来て、「あなたの子どもを出産しました。早く結婚しましょう」と書いてあった。A男は全くその気がない旨メールで返信すると、彼女は怒って500万円の慰藉料を請求してきたのだ。
 話を聞いてみると、A男は、相手の女性と特に結婚の約束をしたわけではないから、婚約不履行とは言えず、約束違反の慰藉料を払う必要はないかもしれない。しかし、出産費用や子どもが20才になるまでの養育費は支払わなければならないし、子どもを認知をすれば、そのことはA男の戸籍にも載る。
 A男は、母親と一緒に相談に来たが、母親は、「こんな稼ぎもない子に支払いなんてできるわけがないのに、相手の女はそれを知っていて、なんで子どもなんか産んだのかしら」と、ひたすら相手の女性を責めるばかり。確かに、普通は2人の間に生まれてくる子どもを含めた将来のことを話し合い、生活の設計を立て、臨月が近づくにつれて親としての自覚も責任もできるだろう。
 しかし、A男とその女性には、全くそれがない。1年くらい前に2・3ヶ月付き合った後、ぷっつりと連絡が途絶えたとなると、子どもが本当にA男の子どもかどうかも疑わしくなってくる。
 そこで、私は、まずA男とその母の納得のためにも、子どもとA男のDNA鑑定をしてみることを勧め、相手の女性にその旨提案して手紙を書いた。
 果たして、どんな返事がくることか……。

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤田 紀子
弁護士 藤田 紀子
藤田・曽我法律事務所代表弁護士

仙台で弁護士を始めて50年以上。

この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。

注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。