11月10日 (2012-11-10)

 A夫は、妻とはもう1年以上も別居している。いつかはきちんと話し合って離婚しなければと思っていながら、多忙のため放っておいた。
 A夫は、やっと重い腰を上げて、私の事務所に離婚の示談交渉の依頼に来たので、まず、A夫の戸籍謄本を取り寄せてみた。
 驚いたことに、1ヶ月前にA夫と妻は、協議離婚したことになっている。A夫は離婚届に署名した覚えはないので、離婚届を法務局に申請して取り寄せてみたところ、A夫の筆跡ではない署名と見知らぬ印鑑が押してあった。
 明らかに偽造である。
 しかし、A夫は、いずれ妻と離婚するつもりでいたし、2人の間に子どももおらず、あとは少々の預金と生命保険の受取人の名義を変更するだけだったので、このまま離婚を認めてもよいかという気になっていた。
 ところが、先日A夫が、「やはり妻の勝手な行為は許せない。離婚届の偽造は犯罪行為だ。離婚無効を訴えて戸籍を元に戻した上で、改めて協議離婚する」と言って来た。
 なぜA夫の気持ちが変わったのかA夫に聞いてみると、その動機は、なんと尖閣諸島にあったのだ。中国の勝手な主張が腹立たしく、これをそのまま認めると、後々大きな禍根を残す、こちらの主張を通して相手に非を認めさせずにはおかない、というものだ。
 やれやれ、尖閣諸島の問題が、こんな形で影響してくるとは思わなかった。

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤田 紀子
弁護士 藤田 紀子
仙台で弁護士を始めて50年以上。

この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。