8月10日 (2012-8-10)

 A子の離婚が調停で決まった。長女B子の親権者は、母であるA子である。
 調停条項に、父親と子どもの面接に関する条項を盛り込むことはよく行われることであるが、B子は、それを嫌がっているという。
 A子が、B子を伴って事務所に来た。
 「B子ちゃん、お父さんとお母さんは離婚しても、あなたにとって、お父さんはお父さんであるし、お父さんも、ときどきB子ちゃんの成長していく様子を見たいというのは当然だと思うから、これからもきちんと日を決めて会うことにした方がいいんじゃない」と私。
 B子は、小学五年生、目のクリクリしたかわいい女の子。父親は、五年前から単身赴任で、A子とB子は、A子の両親と同居している。
 B子は、「私は、おじいちゃんをお父さんだと思っています。おじいちゃんは大学の先生だけど、家にいる時は、私にいろいろなことを教えてくれます。地球儀を回して、今どこが戦争しているとか、どこの国が貧乏だとか。また、おじいちゃんが勧めてくれる本は、とてもためになる本です。休みの日は、動物園や博物館に連れて行ってくれます。おじいちゃんのチェロと私のピアノを合わせるのも楽しみです。
 あの人は、ときどき来ていましたが、だらしない格好でゴロゴロテレビを見てばかりで、私が話しかけてもろくに返事もしません。私は、あんな人をお父さんと思いたくありません。かりにあの人が私に会いに来たとしても、いったい何をして、何を話すつもりなのでしょう。『元気か』、『はい』の一分で終わってしまうと思います。それだけのために、お金を使って東京から会いに来るより、その分お金をお母さんに送ってほしいと思います。」と言う。
 う~ん、いちいちもっともである。「お父さん」とさえ呼ばないB子の決心は堅い。
 B子は、私の上の孫と同じ年なのに、何としっかりしているのだろう。
 ただただ感心した私は、これを裁判官に伝えてわかってもらえるだろうか、と心配している。

この記事を書いた弁護士

弁護士 藤田 紀子
弁護士 藤田 紀子
仙台で弁護士を始めて50年以上。

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