2月20日 (2012-2-20)
私が弁護人を勤めたA子は、窃盗罪で今刑務所に入っている。
そのA子から手紙が来た。
「五人部屋で、リーダー格の女性からひどいいじめに遭っている」、「他の部屋のリーダーは、人格的にも立派な人がいて、皆、さわやかな笑顔で挨拶し合って羨ましい」という内容であった。また、「物を飲み込むときに痛みがあり、咽頭癌ではないか」という不安も書いてある。
私は、早速返事を出して、「いじめに耐えられないなら部屋替えをお願いしてみたらどうか」、「貴女から言い出しにくければ、私から代理人として申し出てもいい」、「健康上の心配があるなら、刑務所内でも診察を受けられるはずだから、看守に相談してみるように」と手紙を出した。
しばらく返事がないのでどうなったのかと案じていたところ、二ヵ月も経って、先日またA子から手紙が来た。
刑務所内で受けた診察で癌が見つかり、民間の病院で手術を受けたとのこと。一ヵ月の入院の後の通院の際にも、付き添ってくれる刑務所の職員に毎回とても親切にしてもらったので、私からも御礼を言って欲しいということと、治療費の支払についての心配が書かれていた。
これまた早速、私は、刑務所長宛に手紙を出したところ、A子の手術代は、国庫で負担する、という返事があった。
ホッとした。
A子には、残りの刑期を無事務めて欲しいと願っている。
この記事を書いた弁護士
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藤田・曽我法律事務所代表弁護士
仙台で弁護士を始めて50年以上。
この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。
注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。
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