8月10日 (2011-8-10)
東日本大震災後、東北で結婚率が上がっていると聞いた。
吊り橋婚とも言っているという。「地震に強い」という意味らしい。
確かに、こういつまでも余震が続いて不安な状況では、誰かにしがみつきたい、お互いに支え合って生きていきたいという願望もよくわかる。
しかし、私の事務所に来るのは、専ら離婚の相談だ。
震災後、寝る暇もなく被災者救助や復興に努めた消防士、医療関係者、地方公共団体の職員が多い。
夫が、外で目まぐるしく働いている間に、家の中で子育ての合間に後片付けや物資の確保に奔走している妻にストレスがたまり、「夫は、何も協力してくれない」との不満から、夫への信頼を失うケース、被災して住むところがなくなった親を引き取り、嫁との確執で夫婦に亀裂が入るケース等いろいろだが、気の毒なのは、やっと取れた休みを、家でひたすら眠っていたいであろう夫が、弁護士事務所を訪れて、相談することに費やさなければならないということだ。
銀行の支払猶予みたいに、妻からの離婚請求猶予なんて考えられないことか……。
この記事を書いた弁護士
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藤田・曽我法律事務所代表弁護士
仙台で弁護士を始めて50年以上。
この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。
注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。
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