7月10日 (2011-7-10)
私が司法試験を受けたのは、もう四〇年以上も前のことだ。
五月の試験の直前は、最後の勉強の仕上げに余念がない。過去の問題集をやり直したり、ノートをひっくり返したり、不得意と思われる分野の参考書を読み直したり……。
その大事な時期に、大地震に見舞われたら当然勉強どころではないだろう。
新しい司法試験の制度では、ロースクールを終えた後、五年以内に三回の受験制限がある。今年を最後のチャンスと思って勉強していた受験生で、被災した人もたくさんいたはずである。それが停電や部屋の後片付け、食料の調達などで勉強する時間がなくなったり、教科書やノート、パソコンが破損して不自由な思いをしたり、交通途絶や郵便不通で答案練習への参加ができなくなったりしたはずである。
だから私たちロールスクールに関係した弁護士数人で、「この一年を、五年以内に三回とする受験年数・回数制限から除外してほしい」という意見書を内閣府、法務省、最高裁判所に提出した。
私の教え子でも、三回目でやっと合格したという生徒の中に、ガッツがあったり、弱者の痛みをわかる弁護士になった人が意外に多い。
今のところ、私たちの意見書に前向きの反応がでていないのは残念なことだ。
この記事を書いた弁護士
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藤田・曽我法律事務所代表弁護士
仙台で弁護士を始めて50年以上。
この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。
注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。
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