6月15日 (2011-6-15)
今回の東日本大震災の後に変化したことは、被災者の生活、原発の見直し、津波に対する対策、菅政権の延命など大きな点でいろいろあるが、私の身のまわりでの小さな変化も感じられる。
1 仲間が集まると、皆、我も我もと地震の時どこにいて、どんなであったか、 その後の耐乏生活がいかに大変だったか経験を話す。
東北だけではなく、東京の人も、帰宅難民になって自宅まで何時間歩いたとか、停電でエレベーターが止まり、マンションの三〇階まで一時間近くもかかって登ったとか、苦労話を聞かせる。
2 観光地が閑散としている。
五月の連休に宮島に行ったが、遊覧船も神社の中も人がいない。特に、外国人はゼロに近い。外国人から見れば、狭い日本で原発事故が起こったとなると、日本全体が汚染されて危ないと思うのだろう。
世界遺産に指定されて、去年などは、カメラを持った外国人客であふれていたのに・・・
3 新しい相談の七~八割が震災関係だ。
二重ローン、破産、支払期限の延長ができるか、境界の不明瞭、保険の請求等々。
被災二重ローンについては、政府が基金を創設して、既存のローンの利子を負担する、金融機関にローンの返済期限延長を要請する方針というが、とてもそんな小手先の政策では今の窮状を救えまい。ローンのついた損壊不動産を、丸ごと国や地方公共団体で買い取るなどの抜本的な政策が取れないものか。
4 私自身、日常の生活でこまめに節電、節水を心がけるようになった。
車も、高速道路は九〇キロ未満の経済速度で走行する、アクセル控え目、発進もダッシュしない。
特に、我が家の高架水槽が水漏れで、水道料金がバカ高いのに工事業者がなかなか来てくれないから、一回一回元栓を開けたり閉めたり不自由している。
電気もこまめに消す、コンセントを外しておく等々。
5 私の所属する楽団で、演奏会をやる予定だったのに、会場の損壊で延期になってしまった。
でも楽器を弾きたい。
そこで、特養施設などをまわって、ボランティアミニコンサートをすることにした。一〇人前後の弦楽器で、おなじみのクラシックの他「ふるさと」、「赤とんぼ」、「七つの子」など、童謡の伴奏をして皆に歌ってもらう。これが結構楽しくて、あちこち押し掛け演奏をしているのである。
6 自然のたくましさに、改めて感動する。
四〇〇トン近い大型マグロ漁船を打ち上げるような津波の威力には、ただただ恐れ入ったが、あんなに大変だった地震の後でも、五月になれば鶯もほととぎすホトトギスも鳴き出す。ケヤキも合歓の木も茂る。
被災地でも、以前から桜が咲いた、水仙が咲いたとニュースで知らされたが、いつもと変わらない自然の営みには、今年はことの外感動する。
この記事を書いた弁護士
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藤田・曽我法律事務所代表弁護士
仙台で弁護士を始めて50年以上。
この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。
注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。
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