5月20日 (2011-5-20)
三・一一の地震のあとしばらくは私の事務所も機能を失っていた。裁判所も三月いっぱいは期日延期で復旧に努めていたようだが、依頼者の切羽詰まった相談があるので裁判所はなくとも三月二一日からは依頼者に対応していた。
これまで貸家から月三〇万円の収入があったから別居中の妻子に毎月一〇万円ずつ送金してやれたが、家賃収入がゼロになったので毎月一〇万円送金できなくなった。婚姻費用分担金の減額の調停を出してほしい。とか、貸金を分割払いで支払うという約束の相手方がこの度の震災で亡くなった、相続人に請求できるか。とか、隣地と境界でもめていたが津波で全く現況が変わってしまった、どうしよう。など災害後特有な相談である。これからもこのような相談は増えるであろうが、法律事務所に相談に来られる人達はまだまだ余裕のある人達だ。相談どころではない、という人達がどれ程いるだろうか、と惨たんたる気持ちである。
この記事を書いた弁護士
-
藤田・曽我法律事務所代表弁護士
仙台で弁護士を始めて50年以上。
この地域に根を張って、この地域の人々の相談に応じ、問題の解決に図るべく努力をしてまいります。
注:弁護士 藤田紀子は令和5年3月12日に満77歳で急逝いたしました。
最新の投稿
- 2024年5月23日りらく連載「女弁護士日記」ニワトリに思いを寄せて
- 2024年5月23日りらく連載「女弁護士日記」この事件は勝てますか?
- 2024年4月12日りらく連載「女弁護士日記」弁護士のアフターケア
- 2024年4月12日りらく連載「女弁護士日記」見栄は不要