勾留請求の却下が増加しています
勾留請求却下の増加傾向について
逮捕~勾留
刑事事件で逮捕された人は48時間以内に検察庁に身柄を送られます。そして,その多くは,そのまま検察官から勾留請求されます。
勾留は,被疑者を拘置所(または警察署の留置場)に拘束する手続で,原則10日間,延長されると最長で20日間継続します。
勾留の要件 ~証拠隠滅や逃亡のおそれがなければ勾留されないはずなのですが・・・
勾留には,
- 住所不定
- 証拠隠滅のおそれ
- 逃亡のおそれ
が要件となっています。
したがって,たとえ検察官が勾留請求しても,1~3のいずれも認められなければ,裁判官は勾留の裁判をすることはできません。
この話をすると,「自分は証拠隠滅や逃亡なんてするはずないから,大丈夫だ」と思う被疑者(逮捕者)も少なくありませんが,実際は,勾留請求されたほとんどの事案では,2と3が認められて,勾留がなされているのが実情です。
このように高い確率で勾留される実情は,捜査機関がたとえ軽微な罪でも被疑者が自白するまで釈放しない「人質司法」を助長してきた面があると思われます。
近年,勾留請求却下(釈放されるケース)が増加している
しかし,近時はこのような傾向に変化が生じています。
裁判員裁判が始まる頃から,裁判所が勾留請求を却下する件数が増えてきました。
年間数百件で推移してきた却下件数は,平成26年に3000件を超え,却下率も2.7%になったそうです。
また,こうした傾向を受けてか,警察から被疑者の送致を受けた検察官が勾留請求を見送るケースも増えていると思います。
起訴前こそ弁護士に依頼する必要性が高い~早めの依頼が大切
起訴前の弁護では,身柄の解放に向けた活動が主たる活動になります。
逮捕段階であれば,検察官に勾留請求しないように求め,裁判官に勾留決定しないように求めます。
勾留された後でも,準抗告という手続により,地裁に勾留請求却下を求めます。
また,勾留自体を覆すのが難しくても,事案によっては,被害者と示談するなどして,勾留満期前の早期釈放を求めることもあります。
逮捕された被疑者にとって,身柄の解放という点では,起訴後以上に,起訴前は,弁護士に依頼する必要性の高い段階と言えます。
この記事を書いた弁護士
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弁護士 曽我陽一(新潟の米農家出身。趣味はマラソン)
1998年 東北大学法学部卒
2001年 弁護士登録(東京弁護士会)
2008年 宮城県仙台市青葉区に曽我法律事務所を開設
2022年 藤田・曽我法律事務所開設
2022年4月~ 東北大学大学院法学研究科教授
お客様にとって「話しやすさ」を重視しています。法律問題でお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。
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