自転車事故を起こした場合の過失相殺の基準
歩行者と自転車による事故が増加~自転車事故の過失相殺の基準~
最近,自転車による重大事故がよく報道されています。
加害自転車の運転者に高額賠償が命じられるケースも出てきました。
それに合わせて,自転車向けの保険も販売されるようになってきています。
自転車事故も,自動車事故と同様,過失相殺は問題となり得ます。
たとえば,自転車対歩行者の事故で,
歩行者に100万円の損害が生じたという場合。
自転車の過失割合が100%ならば賠償額は100万円ですが,70%なら70万円,50%なら50万円と変わってきます。
「歩行者と自転車の事故」における過失相殺基準
自転車事故については,自動車事故と比べて,過失割合の類型化は進んでいませんでした。
しかし,過失相殺のバイブル「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」では,最新版(全訂5版・別冊判例タイムズ38号)で,「歩行者と自転車との事故」について,過失相殺の基準が示されました。
また,日弁連交通事故相談センター東京支部「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(いわゆる「赤い本」)でも,2014年版で,試案ではありますが,「自転車同士の事故の過失相殺基準(第一次試案)」が示されています。
まったく基準のないところで話し合っても,双方の過失が何割かを決めるのは困難ですが,逆に一定の基準が示されれば,目安が明らかになり,話し合いによる解決が促進されることが期待できます。
今後も自転車事故が増え続けるようであれば,こうした過失相殺基準がますます役に立っていくでしょうし,事例の集積に合わせて基準の精緻化が図られていくのではないかと思います。