お酒を飲んだ人を運転させるリスク3つ
一緒に乗っていてもリスクに。飲酒運転させることによる3つのリスク
飲酒運転による悲惨な事故の報道が絶えません。飲酒運転は,運転する本人だけでなく,その車に同乗する人にとってもリスクのある行為です。
1.道交法違反だけでない,飲酒運転同乗者には刑事上責任の可能性も
第1に,刑事上の責任として,飲酒運転した人は,道路交通法違反に問われるのはもちろんのこと,事故を起こして人を負傷させたり,死亡させたりした場合は,自動車運転過失致死傷,場合によっては危険運転致死傷という罪に問われます。
そして,同乗者も,その共犯(幇助犯)に問われる可能性があります。特に,運転者と一緒に飲酒していた,運転者に積極的に酒を勧めた,運転するよう働きかけた,といった事情があると,共犯関係が成立する可能性が高まります。
2.連帯して損害賠償義務が発生する場合も
第2に,民事上も,被害者に対して,運転者と連帯して損害賠償する義務を負う可能性があります。飲酒行為や運転行為への関与の度合いなどの事情によってその可能性が高まることも変わりありません。
なお,飲酒運転は慰謝料増額事由となることが少なくないので,連帯責任を負わされた場合,通常の交通事故のときよりも賠償すべき金額が多くなる可能性もあります。
3.怪我をしても,損害賠償額が減額される可能性も
第3に,飲酒運転の結果,事故が起きて,同乗者も怪我をした,という場合,同乗者は加害者(運転者)に対して損害賠償請求権を取得しますが,その損害賠償額が減額される可能性があります。
いわゆる好意同乗(無償での同乗)では,かつては,便益を受けている分,賠償額をいくらか減額するという裁判例も多くありましたが,現在の判例・実務では,好意同乗というだけでは減額はなされていません。
しかし,飲酒運転車両への同乗では,飲酒により事故が発生する危険性が高いことを承知していたとか,一緒に飲酒して危険性を高めたといった事情がある場合,損害賠償額が減額されることがあります。
減額される場合,減額幅は1割から2割程度とされることが多いです。
飲酒運転は「しない,させない」
以上の刑事上または民事上の責任ないしリスクに加え,飲酒運転に関わったことによる社会内や勤務先での様々な不利益も予想されます(特に重大事故で同乗していた場合)。
昔から言われていることですが,飲酒運転は「しない・させない」が肝要です。