高齢者の逸失利益

高齢者の逸失利益は低くなる?

前回,高齢者の死亡慰謝料は働き盛りの世代と比べると低くなり得るという話に触れました。

高齢者の場合,逸失利益も結果的に低くなる要素があると言えます。

逸失利益の算定基準

逸失利益の算定基準は以下のとおりです。

死亡逸失利益:基礎収入×(1‐生活費控除)×就労可能年数(ライプニッツ係数)

後遺症逸失利益:基礎収入×労働能力喪失率×喪失年数(ライプニッツ係数)

死亡,後遺症いずれの場合も,基礎収入に一定の数値を乗じた金額が逸失利益となるので,基礎収入がいくらと認定されるかは重要です。

有職者であれば現実収入を基礎収入とするのが原則ですが,高齢者の場合,働き盛りの頃と比べると収入が落ちていることが多いでしょう。

また,無職者ですと,収入認定自体難しくなりますし,家事従事者と認定される場合も低めの認定額とならざるを得ない例が少なくありません。

就労可能期間(後遺症逸失利益の労働能力喪失期間もこれが上限となります)も,原則として67歳までとされています。

67歳を超えている高齢者や,67歳までの年数が短い高齢者については,平均余命の2分の1の年数を採用することにより0年とはなりませんが,若い世代と比べると年数は短くなります(たとえば,67歳だと17.16÷2=8.58年(平成23年簡易生命表))。

また,高齢者の場合,事故前から何らかの既往症を持っていることも少なくありませんが,その場合,加害者側から素因減額の主張がなされる可能性もあります。

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