民法大改正。債権回収のポイント

 

明治29年に制定された民法は、本年(平成29年)5月、契約をはじめとする債権債務関係を規律する条文を大改正する改正法が成立しました。

施行までまだ時間はありますが、改正内容をチェックし、早めに対応の準備をしておくに越したことはありません。

改正された項目は多岐にわたりますが、ここでは多くの事業者が直面し得る、債権回収に影響する改正についてご紹介します。

 

1.改正の経緯

Q1 なぜ債権法が改正されることになったのですか。

A 民法は約120年前に成立した古い法律です。これまでの間に、社会・経済の状況は変化し、判例も蓄積しています。そこで、特に国民の日常生活や経済活動に関わりの深い債権法分野を刷新し、国民にとって分かりやすい法律にしようとしたのです。

 

Q2 改正法が施行されるのはいつですか。

A 公布から3年以内とされていますので、遅くとも平成32年6月2日までには施行されます。

 

2.債権回収への影響

Q3 企業の債権回収にどのような影響があるでしょうか。

A 時効管理は債権回収の基本ですが、その時効期間が改正されます。現行法では、商事債権の消滅時効は原則5年ですが、短期消滅時効の特則も存在し、例えば、工事の請負代金は3年、商品の売掛金は2年、飲食店の料金は1年などと、時効期間がまちまちです。改正法ではこれが統一されます。

Q4 統一されるとどうなるのですか。

A ①債権者が権利を行使できると知ったときから5年、または、
②客観的に権利を行使できるようになったときから10年となります。

 

Q5 時効期間が変わったら、気を付けることはありますか。

A たとえば、今まで2年で時効だったのが5年や10年に伸びる点では債権者に便宜ですが、その結果、肝心の時効管理を失念することのないよう、注意が必要です。

また、債権者は権利を行使できると知っているのが通常ですので、基本的には消滅時効は5年と意識し、それを過ぎる前に時効の更新等の措置を取るべきです。

一方、債務者の立場からすると、最長で10年後に請求される恐れがあるということになりますので、支払ったことの証拠(領収書など)もそれまで保管しておいた方がよいでしょう。

 

Q6 時効の「中断」は聞いたことがありますが、「更新」とは何ですか。

A 用語を改めたものです。現行法は時効障害事由として「中断」と「停止」を定めていますが、誤解が生じやすい用語なので、それぞれ「更新」「完成猶予」と改めることになりました。

なお、仮差押えや仮処分は、現行法では時効中断(更新)事由ですが、改正後は完成猶予事由に変わります。

 

Q7 期限内に弁済してもらえないときは、遅延損害金を加えて請求できますが、それは変わりませんか。

A 遅延損害金を請求できることは変わりませんが、その利率を合意で定めていない場合に適用される法定利率が変わります。現行法では、民事法定利率は年5%、商事法定利率は年6%ですが、改正後は、民事法定利率は年3%(その後3年ごとに変動)となり、商事法定利率は廃止されます。

 

Q8 改正後も、債権保全のために保証人を取ることはかまいませんか。

A 合意により保証契約を結ぶことができることは変わりませんが、改正法では、一定の場合に公正証書の作成や保証人に対する情報提供が義務づけられたり、個人の根保証に極度額の設定が義務づけられるなど、保証人の保護策が図られています。

Q9 債権回収に関する改正事項は他にもありますか。

A 債権者代位、詐害行為取消、債権譲渡、相殺などの制度も、改正により規定が整備されています。

出典:弁護士曽我陽一執筆 仙台商工会議所月報誌「飛翔」2017年10月号「誌上相談室Q&A」

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